遠廻しに土地の事情を聞出そうと思った時

「そうですか。ここはもともと埋地で、碌《ろく》に地揚《じあげ》もしないんだから。」と主人もしぶしぶ口をきき初めた。「それでも道がよくなりましたね。第一便利になりましたね。」「その代り、何かにつけて規則がやかましくなった。」「そう。二三年前にゃ、通ると帽子なんぞ持って行ったものですね。」「あれ...

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手には風呂敷に包んだものを持っている

 わたくしは大方馴染の客であろうと思い、出ようか出まいかと、様子を窺《うかが》っていると、外の男は窓口から手を差入れ、猿をはずして扉《と》をあけて内《なか》へ入った。白っぽい浴衣《ゆかた》に兵児《へこ》帯をしめ、田舎臭い円顔に口髯《くちひげ》を生《はや》した年は五十ばかり。手には風呂敷に包んだものを...

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一|筆《ふで》申上まいらせ候

[#ここから1字下げ]一|筆《ふで》申上まいらせ候。その後は御ぶさた致し候て、何とも申わけ無之《これなく》御免下されたく候。私事これまでの住居《すまい》誠に手ぜまに付この中《じゅう》右のところへしき[#「しき」に白丸傍点]移り候まま御《おん》知らせ申上候。まことにまことに申上かね候え共、少々お目も...

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