正義の宮殿

 わたくしはこの東京のみならず、西洋に在っても、売笑の巷《ちまた》の外、殆《ほとんど》その他の社会を知らないと云ってもよい。其由来はここに述べたくもなく、又述べる必要もあるまい。若しわたくしなる一人物の何者たるかを知りたいと云うような酔興な人があったなら、わたくしが中年のころにつくった対話「昼すぎ」...

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わたしの年は水商売には向くんだ

「わたしの年は水商売には向くんだとさ。だけれど行先の事はわからないわ。ネエ。」 じっと顔を見詰められたので、わたくしは再び妙に不安な心持がした。まさかとは思うものの、何だか奥歯に物の挾《はさ》まっているような心持がして、此度《こんど》はわたくしの方が空の方へでも顔を外向《そむ》けたくなった。 表...

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ほんとの年はわからない

「お父さん。六十なの。まだ御丈夫。」 お雪はしげしげとわたくしの顔を見て、「あなた。まだ四十にゃならないね。三十七か八かしら。」「おれはお妾《めかけ》さんに出来た子だから、ほんとの年はわからない。」「四十にしても若いね。髪の毛なんぞそうは思えないわ。」「明治三十一年|生《うまれ》だね。四十だ...

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